ちくちく編むごもんちん

編み物の記録とその他雑感

帰ってきた"!"

 

心身の調子が低空飛行しているここ数年、メールやLINEのやりとりで、"!"を使わなくなっていました。
体調が良くない、元気がないときは、"!"を使う気になれません。
例え使ったとしても、相手に気を遣って、元気なふりをしているときでした。
そのときの感嘆符には、陰気な雰囲気が漂っていて、見返してみると、虚しくなります。

 

先日、ずっと気になっていた編み物の本がセールになっていました。
お買い得なこの機会を決して忘れないように、無意識のうちに、本のタイトルの後に"!"をつけてメモしていました。
無意識のうちに書いていたのです。


ちょっとずつ、でも確実に元気になってきている証拠のように思えました。
たった1つの感嘆符で、こんなに嬉しくなるなんて。
空元気や強がりではなく、ごく自然に書くことができるたびに、にやけてしまいそうです。

誰かの幸せに、心がざわついたときは

久々に知人から連絡があったとき、だいたいが結婚報告(たまに怪しいビジネスのお誘い)のお年頃になってしまいました。

知り合いの幸福な報せは喜ばしいことのなのに、素直に喜べない自分がいます。
結婚などの一般的な幸せとは遠い場所が自分の現在地だからです。

 

人の幸せを喜べない、身も心も貧しい人間になってしまったのかと自己嫌悪に陥りそうになったとき、考えるようにしていることがあります。
"幸せな人が多い方が自分も幸せになれる可能性が高くなる"ということです。

幸せな人が多いと、心に余裕を持って行動できる人が多くなります。
他者に対して思い遣りのある行動をとる人が増えて、めぐりめぐって、自分に幸せの"おこぼれ"がまわってくる確率が上がると考えています。
他人の幸せが自分の幸せに繋がると思ったら、眩しすぎる他人の幸せも、喜べる気持ちになります。
"風が吹けば桶屋が儲かる"のように、"幸福な人多ければ幸せの種が増える"
ちょっと大袈裟な考えかもしれませんが、そうだと、そうであってほしいと願っています。

 

こんなことを考えていると、自分の損得ばかり気にして、やっぱり私は心が貧しいのね…なんて思ってしまうこともあります。
そんなときは、想像してみます。

結婚して幸せそうにパートナーと生活を共にする知人、この上なく幸せだと笑っている他人を。
幸せなそうな笑顔が、一変して、不幸せそうな顔になったら…。

やっぱり幸せな顔を想像する方が心地が良い。
他人の不幸よりも幸せを願うことができる間は、まだ自分は大丈夫だと思えて、心が楽になります。

 

もし誰かの幸せを願うことが出来なくなって、不幸を望むようになってしまったら…。
いつも行ってる精神科の先生に相談するわ。

ブラックマヨネーズさんの漫才のようになってしまった。
『皮膚科』から『精神科』に変わると、笑えなくなってしまうのが、少し悲しいです。

夢の中の隣席は

 

飛行機なんて久しく乗っていません。
だから、自分が飛行機に乗っている様子を俯瞰して、"ああ、これは夢だ"とすぐ分かりました。

どこからどこへ向かっているのかすら分からないまま、しばらく座ったままでいると、隣に見覚えのある人が座りました。
以前働いていた会社で、営業をしていた中堅社員でした。
部署も職種も違ったため、ほとんど関わりは無く、言葉を交わした記憶はあるけれど、何を話したか思い出すことができません。
さわやかで、活発な、いかにも"営業職"の、仕事のできる人でした。
内気な自分とは対照的で、この人を見かける度に、こういう人が組織でうまくやっていける人なんだろうなと考えていました。

その人はこちらを見ることなく、ただ前を向いて微笑んでいました。
順風満帆に働いているように見えたけれど、表面的には見えないゴタゴタが、その人の周りにあったことを、後々知りました。
その人はどういう気持ちで働いていたのだろうかと想像してみるけれど、本当のところは分かりません。

 

私は会社で働くスピードや慣例についていけず、心身を壊してしまって仕事を辞めざるを得ない状況になってしまいました。
鈍くて不安症気味の人間とって、ストレスフルな仕事は、とても辛い。
周りに迷惑をかけて辞めてしまった自覚があって、今も心苦しい気持ちを抱えています。
要領や物覚えが悪くて馬鹿にされることも多く、働いていた頃の自分を認めることは難しいです。
それでも、笑って働いていた瞬間はあったなと思うのです。
仕事が上手くいったときや仕事とは無関係の他愛もない世間話をしているときなど、笑っていた自分がいたのは確かです。
(それに、厚生年金に加入できていたのが地味に嬉しい。将来、無事に貰えるかは分からないけれど…)


会社を辞めて、しばらくしてから編み物を始めました。
誰のためでもなく、自分のためにする編み物は、自分自身のペースで編み進めることが出来るので心地いいです。
編むのが遅かったり、思い通り編むことができなかったりと、歯がゆい思いは、いつも付いてまわってくるけれど。

 

夢の中で隣り合ったあの人が、今の編み物をしている自分を見て、どう思うかなんて、これまた分かるはずもありません。
あの人のように、真っ直ぐ前を見据えて微笑みながら…なんてことは出来そうにないけれど、編む喜びと上手く編めない悔しさとを、交互に噛み締めながら、編み続けることしか出来そうになさそうです。

 

「今の痛みや苦しみが、どうか消えますように」

「すてきなものが出来上がりますように」

「あの人を含め、お世話になった方々が平穏な日々を過ごしていますように」

 

などと、取り留めのないことを、祈りながら編みたいです。

編んだもの プリントオブウェーブもどきのショール

編みたかった模様に再チャレンジしました。


以前、別の糸で編んだものの、なんだかしっくりこなかったので、ほどいてしまって…。
不恰好な部分もありますが、編み終えることができて嬉しいです。

 

参考にした本以外にも、いくつかの本で似たような模様の作品がありました。
メジャー(?)な模様なんですね。

 

もっと細い糸で、編み地をガーター編みにして、いつか再再チャレンジしたいです。

 

 

※下記の本で紹介されている編み図を参考に編みました

グラフィック社  エリザベス・ロヴィック著
『一年中楽しめる透かし編みの模様82 繊細で軽やかなショールやソックスも作れるシェットランドレース模様パターン集』

ギャクマンガの向こうには

 

近頃はマンガやアニメと無縁の生活を送っている人は少ないと思います。

"マンガやアニメ好き=オタク"
という偏った方程式が、(今も多少は残っているかもしれませんが)まだ微かに残っていた頃に学生だったので、手軽に、身近に、マンガやアニメを楽しめる時代になって嬉しいです。

 

学生だった頃、少しはマンガを買っていたけれど、グロテスクな表現やショッキングな描写が苦手だと気付いてから、流行りのマンガと遠ざかり、物々しいアニメの効果音が苦手だと気付いてから、大体のアニメから遠ざかり…。
気付いたら、『クレヨンしんちゃん』と『おしりたんてい』のアニメを、なんとなく見るくらいになってしまいました。

 

家で日焼けしてしまった年期の入ったマンガ本を見ていると涙が出そうになるようになって、生活に支障が出そうだったので、集めていたマンガは処分してしまいました。
小説や写真集は大丈夫なのに、どうしてだろうか?
未だに理由は分かりません。

 

(こんな経緯があるので、マンガの話をするのは忍びないのですが)
兄と交代でお金を出して週刊少年ジャンプを買っていたとき、1番読むのを楽しみにしていたのは、うすた京介先生の『ピューと吹く!ジャガー』でした。

ストーリーの面白さはもちろん、ニャンピョウやミッキキマス太郎など、ユーモア溢れる独特なキャラクターに、夢中になりました。

 

小さな頃から、私はひどく内向的で、誰かと上手く話すことが出来ませんでした。
写真を撮るときも、うまく笑うことができずに、暗い顔で俯いてばかり。
それでも、『ピューと吹く!ジャガー』などギャグマンガを読むようになって、ちょっとずつ笑えるようになり、誰かと笑い合えることに喜びを覚えるようになりました。
口下手でひとりが好きな部分は変わらず、拙くて上手くいかないことも多いですが、少しはおしゃべりできるようになりました。

 

連載が終わって、週刊少年ジャンプの巻末からジャガーが無くなり(この作品は読者の人気に関わらず、1番最後に掲載されていた)、膝から崩れ落ちそうになるほどショックを受けました。

 

最終回のショックから数年経って、YouTubeでうすた先生が出演しているCMを見つけました。
このCMを、辛いときに見るようにしています。

https://youtu.be/w0O9aosEuTU?si=9IbpYYBKApfQyS05


子どもの頃は想像も出来なかった苦悩が垣間見得て、泣いてしまいそうになるし、勇気をもらいます。
エレファントカシマシを聴くようになったのもこのCMがきっかけでした。本当にありがたい。

 

マンガを描くことはもちろん、何をしていても、楽しいだけではなく、辛く苦しい場面に出会してしまうこともあるでしょう。
それでもひたむきに、物事に取り組む人が報われる社会だったらいいのにと、大したことは出来ないながらも願っています。

 

 

 

編んだもの ホースシューとベースもどきのストール

 

 

編んでみたかった模様を組み合わせてみました。

 

最後に中央をはぐのが上手くできず、他の糸で練習してから、再度はぎました。
仕上がりがちょっと重めだったので、中央ではぐようにしたのは、失敗だったかなと反省してます。
今度からは中央をはぐときは、もっと軽めの糸を編むときにしようと思います。

 

まだまだ、はぐのは下手だし、編むのも遅い…。
これから先、いろんなものを編んでいるうちに、上手くなりますように。

 

 

※下記の本で紹介されている編み図を参考に編みました

グラフィック社  エリザベス・ロヴィック著
『一年中楽しめる透かし編みの模様82 繊細で軽やかなショールやソックスも作れるシェットランドレース模様パターン集』